いけプロ / 活動報告
“お泊まり会” in 重症児デイサービス ラナキッズ
NPO法人ソルウェイズのデイサービスの事業所では、ショートステイに向けたシミュレーションを実施しています。
重症児デイサービス ラナキッズにて、2022年11月26日に開催した「お泊まり会」の活動報告です。
※このお泊り会は「赤い羽根 新型コロナ感染症下の福祉活動応援全国キャンペーン 重症児等とその家族に対する支援活動応援助成」を受けて活動しています。
ラナキッズお泊まり会
日時
2022年11月26日(土)15:00
~11月27日(日)10:00
場所
重症児デイサービス ラナキッズ
目的
- いつもと違う夜の時間に、友人やスタッフと過ごすことを楽しみ、思い出をつくる。
- 保護者不在の中での宿泊を楽しむことを通して、利用児の新たな経験と心の成長に繋げる機会とする。
- 保護者の夜間帯の負担軽減と休息の機会をつくるとともに、子どもが慣れた場所やスタッフのもとで楽しみながら宿泊することで、安心して気軽にショートステイを利用できることを感じられる機会とする。
- お泊り会の企画から実施のプロセスを通して、楽しく宿泊できるショートステイをつくるために必要な設備やケア提供方法、環境整備などの工夫と課題を明確にする。
事前準備
当初10/8(土)~10/9(日)の日程で行う予定で約2か月前より準備を開始しました。
利用児の体調に合わせて11/26(土)~11/27(日)に延期となりました。
打ち合わせ
打ち合わせはグループLINE上で行い、必要に応じてラナキッズ or zoomにてミーティングを開きました。
打ち合わせ内容や保護者への聞き取りをもとに、スプレッドシートで資料や書類を作成して内容を共有。
直前にzoomにて、タイムスケジュールや役割分担、事前準備の再確認を行って、必要事項について最終調整を行い、お泊り会に備えました。
準備事項
- スタッフのシフト調整、役割分担、タイムスケジュール
- 利用児の送迎方法
- 夜間のケアや緊急時対応の確認
- 必要な資料や書類の作成
- レクリエーションの内容、買い出し
レクリエーション
- スイーツパーティー女子会
ホットケーキを焼き、好きな具材でデコレーション。
どんなケーキを作りたいかはデイサービス利用時に事前確認。 - 寝る前にスヌーズレン
- お泊り会の記念の表彰状を作成し、おわりの会で渡す。
-
ケアの時間を崩さず過ごしてもらいたいか、多少時間がずれてもお泊り会を楽しむことを優先してもらいたいかを保護者に確認。
日中のデイサービス利用時にはないケア
夜間のみマスク型人工呼吸器を装着している子は、通常のデイサービス利用日の送迎時に、家での人工呼吸器の配置やマスクの装着方法を母親から教えてもらう機会をつくってもらいました。
当日の流れ
15:00
スタッフ集合、打ち合わせ、環境整備、送迎
16:30
利用児到着、荷物確認、手洗いや夕方のケア
17:15
はじまりの会
17:30
クッキング:ホットケーキ作り
今回のお泊まり会は「女子会」がテーマ。
デイサービス利用時に、どんなことをやりたいかを話し合い、「こんなケーキを作りたい!」を決めました。
18:00
夕食・ケア・休憩
「パジャマパーティーにしたい!」ということで、夕食の注入の後にパジャマに着替えてスタンバイ。
19:30
スイーツパーティー
21:00
スヌーズレン・アロマ
1つずつ消して、そのまま消灯
二人とも「まだ寝ない!」と普段よりも寝る時間は遅くなりましたが、泣いたり中途覚醒することなく、ぐっすり眠れました。
7:00
起床、ケア
9:00
おわりの会・送迎・お迎え
参加者の声
利用児のご家族
- 明け方に突然起こる無呼吸。ゆすって刺激してO₂流すくらいしか対処がないので、スタッフが怖い思いをするのではということが心配でした。
電話がくるかな、こないかな、そればかり考えて、結局、子離れできない自分(笑)娘の方が、満面の笑みで楽しんでいたようです。
外食することができ、夜中までママ友とおしゃべり会も久々に自分の方が学生時代に戻ったように楽しんでいました。日々のケアのこと、不安な生活にママ友とおしゃべりして、私だけじゃないなって元気をもらいました。 - 心配事は何もありませんでした。困ったこと、迷ったこともありませんでした。娘も母(私)もとても楽しみにしていました。いつもお世話になっているスタッフさんなので安心してお願いすることができました。
母は久しぶりにゆっくりのんびり過ごすことができました。娘もとても楽しかったようで、帰りの車の中でずっとニコニコしていました。また機会があればぜひ参加したいです。
スタッフ
今回は、ラナキッズで利用児2人と普段から接しているスタッフが3名(ラナキッズ管理者、ラナキッズ看護師2名)、利用児のどちらか1名とは接しているスタッフが2名(ソルキッズ管理者、あみえる看護師1名)という構成であった。
- 二人ともスタッフや場所に慣れているので特に緊張もなく開始できた。「楽しく」お泊り、そして「また来たいな」と思ってもらえる、家族も「またお願いね」と言ってもらえるショートステイを目指したい。
- 子どもの楽しそうな姿や笑顔を見れたことや家族の息抜きにもなっていたことから、大変良い時間であったと思い、楽しめるショートステイの必要性を感じた。
- 今回はスタッフの子ということもあり、利用児とも母親とも調整しやすい間柄での開催だったので、一般の利用児でも実施してみなければわからないことも多いと感じた。お互いの信頼感が必要だとも思った。
-
朝、利用児を迎えに来た母から「何だろうこの安心感!」と晴れ晴れとした表情と口調で発言されたことがとても印象的で、子ども自身が慣れている場所で慣れているスタッフと過ごせていることや、子どもの特性や対応方法を知ってもらえていることを、保護者が認識しながら安心して子どもを預けられるショートステイであることが、母親がしっかりリフレッシュできることに繋がるのだと実感した。
-
普段とは違う環境で夜間を過ごし、朝目を覚ましたらいつもと違う環境にいる子供たちが、どんな過ごし方をするのか、どこまで様子を見ていいのか、事前に情報をもらっていても、夜間のその子に看護師がなれるまでは判断に迷うことがとても多そう。
-
共有したタイムスケジュールがわかりやすく、お泊り会の全体的な流れを把握しながら動くことができ、利用児を楽しませながらも必要なケアを欠かすことなく行えることにも大きく役立った。事前準備で入念にタイムスケジュールを組むことが重要だと思う。
- 1日の医ケアのスケジュールもらった時に、朝から夜中まで30分~1時間刻みのケアがあり驚いた。デイサービスで日中に関わっている中でのアセスメントを伝えてみたところ「ルーチンになっていて気付かなかった。」「工夫してみたら、だいぶ楽になりました!」と喜んでいた。通所施設の看護師としての立場を逸脱せずに介入する難しさもあるが、デイサービスで関わる時間以外にももっと視野を広げると、家族の負担軽減のための看護の幅も広がると感じた。
学びや次回への課題
-
今回は「お泊り会」であり、お楽しみ要素を多く盛り込んだため、2人の利用児に対してスタッフ5名でもギリギリだった。ショートステイのコンセプトに「おばあちゃんの家に泊まりに行く」「お友達とお泊り会」「楽しい場所」ということが含まれているので、それを実現するためには、安全にお預かりするための人数だけではなく、楽しませてあげられる人数が必要になる。夜勤の人数は多くなくてもいいので、消灯までは遅番スタッフや短時間のバイトやパートなど、コンセプトに合わせた人数確保が必要。必要な時間帯に人を確保できるとよい。
-
ベッドでないとケアは大変なことも多いが、年齢の小さい子は添い寝が必要になることもあると思うので、ベッドのみではきついと思う。
-
到着時の荷物チェック、内服薬チェックが大変。普段利用している子たちだから良かったが、慣れていない人の荷物チェックだと更に大変。荷物が多いので荷物確認の工夫はかなり細かく練る必要がある。