いけプロ / 活動報告

ショートステイへの思い〜重い障がい(医療的ケア)のある子の母親〜

「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」

プロジェクトチームの代表 NPO法人ソルウェイズ共同代表 運上佳江

医療的ケアのある子と家族の日常

私には4人の子どもがおります。
長女(中学生)と次女(小学生)は重症心身障害児、歳が離れて三女と四女は幼児です。

長女、次女には重い障害があり、二人とも飲み込む力が弱く、食事を食べることができず、また脳の萎縮により呼吸を止めてしまうことがあるため、医療的ケアと呼ばれる痰の吸引、胃ろう(チューブからの食事の注入)、人工呼吸器を使っています。

娘たちは1〜2歳が寿命で短命と言われている難病ですが、近年の高度な医療のおかげで今日も健やかに成長しております。

子どもたちの成長を喜び、いつまでも家族一緒に過ごしたいと願う一方で、子どもたちの命をつなぐ医療的ケアや、日常生活におけるすべてに介助が必要であることが、家族、特に介護を一身に担う母親への負担が大きく、365日24時間休まる時がありません

さらに、2歳と1歳の三女と四女の育児もあり、私や夫も仕事をしており、毎日が戦争です。

なぜNPO法人ソルウェイズを立ち上げたのか?

重い障害があり医療的ケアのある子どもたちを受け入れてくれる施設が当時は少なく、仕事も辞めざるをえない状況でした。
幼稚園や保育園に通い、遊び、母子ともにお友達ができるような生活とはほど遠く、家の中に閉じこもりっきりの生活です。
社会との接点もなくなり、家族以外と会うのは医師や訪問看護師さんくらいでした。

重い障害がある娘と家に閉じこもり、どんな風に遊んであげたら良いのか分からず、初めての育児と介護に戸惑い、ただただ抱っこして涙を流すだけの日も多くありました。

どんなに重い障害を持って生まれた子どもも、保育園や幼稚園のように、子どもは子どもらしくお友達と一緒に過ごすことができるような場所があれば、家族が心身ともに休む時間、家族が心身ともに休む時間、きょうだい児との時間、お母さんが仕事をする時間を生み出すことができるのではと考え、重症児デイサービスから事業をスタートさせました。

NPO法人ソルウェイズの歩み

2017年4月に医療的ケア児、重症心身障害児に特化した「重症児デイサービス」(児童発達支援・放課後等デイサービス:0歳〜18歳まで対応)を開設しまし、2022年現在までに重症児デイサービスは札幌市と石狩市に計5ヶ所、そして、生活介護、居宅介護、訪問看護と運営してまいりました。
詳しくは、こちらをご覧ください。

なぜショートステイが必要なのか

通所施設や訪問型サービスでは、日中の限られた時間でしか対応できず、宿泊も含めて1日を通して子どもたちを預かることができないということが課題です。

当法人への要望としても、お泊まりのできる施設の開所が多く寄せられています。

1)夜間の医療的ケア、きょうだい児との時間

重い障害や医療的ケアのある子どもたちの介護は、深夜にも行われます。
生命維持に欠かせない呼吸器が異常を感知してのアラーム音が鳴れば、家族は飛び起きます。
夜間も3時間おきの痰の吸引が必要な子、寝返りができないため2時間おきの体位交換が必要な子もいます。

夜にぐっすり眠るという人間らしい生活すらできていません。

また医療的ケアのある子どもにかかる時間が多いため、きょうだい児との時間を持つことがとても難しいのです。
「お母さんと二人でおでかけしたい」「パパとママを独り占めしたい」そんなきょうだい児の気持ちを叶えてあげることもできません。

夜間も含めて1日を通して預けられる場所があると、夜間は連続した睡眠時間を確保することができ、きょうだい児との時間もつくることができるのです。

2)現在お泊まりができる施設はないのか?

この地域にお泊まりできる施設が全くないのかというと、答えは「NO」です。

家族の緊急事態(急な体調不良、介護ができなくなる事態)や、母親の妊娠出産、家族のレスパイト(休息)のために、病院や入居施設に短期入所(レスパイト入院やショートステイ)することはできます。
しかし、「お泊まりしたい」「楽しんでおいで」という感覚ではなく、「他に手段がないので仕方なく」「ごめんねと思って預かってもらう」という声も聞きます。

(図)お泊まりのできる施設を希望する家族からの声

「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」では、医療的ケア児やその家族が「また行きたい!」「楽しかった!」「安心して預かってもらえる」という施設にするために、ご家族からのご意見もいただきながら、計画を進めています。

「お友達とお泊まり会」「おばあちゃんの家に泊まりにいく」
そんな感覚でお泊まりに行けるようなショートステイを思い描いています。
施設を建てるまでだけではなく、開所後も、一緒に成長させていってもらえると嬉しいです。

「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」では、2022年8月末まで、賛同人を募集しております。

こちらの入力フォームより、ご賛同いただけると嬉しいです。
また、このような現状を知っていただきたいので、みなさんの周りの方にもお知らせしていただきたいです。
ご協力をよろしくお願い致します。