未来を拓くプロジェクト

お泊まり会 in 北海道こどもホスピスくまさんのおうち

未来を拓くプロジェクト

NPO法人ソルウェイズのデイサービスの事業所では、ショートステイに向けたシミュレーションを実施しています。

北海道こどもホスピスくまさんのおうちをお借りして、2024年2月3日(土)〜4日(日)に開催した「お泊まり会」の活動報告です。

お泊まり会 in 北海道こどもホスピスくまさんのおうち

日時

202423日(土)〜4日(日)

参加者

利用児 4
スタッフ 7名(ソルキッズ、あみえる、ラナキッズ)

イベントの目的

  • 高校卒業後のライフステージ、親亡き後へ向けた親離れ・子離れ
  • 2年後に高校卒後を控えている子を中心にお泊りを企画
  • グループ内のスタッフで対応することでより多くの支援者と子どもがつながる
  • 兼ねてから希望されていた温泉に行きたい願いを叶える

事前準備

  • スタッフシフト調整、役割分担、タイムスケジュール
  • 医療的ケア(夜間帯)の確認
  • 緊急時対応の確認
  • アレルギー確認
  • 書類作成(案内、アンケート、工程表)
  • レクリエーションの内容検討
  • 購入物品の確認
  • 手稲温泉ほのかに事前調査、日程調整、構成員の説明、承諾を受ける
  • シャワーエイドのレンタル
  • 宿泊先である「さっぽろこどもホスピス くまさんのおうち」との調整

当日の様子

14:00   送迎開始

2台に分かれて送迎。
バギーの固定に戸惑ってしまたことと、雪の影響で1台の車両のお迎えが遅くなってしましました。ご家族と連絡を取り合って、無事送迎ができました。

15:30 ほのか温泉到着

ほのかでは特別室を借りて、そこにバギーで入りました。
館内は一階のみスロープが付いていて、車椅子を想定した造りになっています。
事前に施設側と打ち合わせをしていたこともあり、バギーのタイヤを拭いてくださったり、案内をしていただくことができました。

ほのかに到着して手続きをしている間、コミュニケーション能力が高いHさんは早速近くにいたお友達と話し始め、一緒に写真を撮っていました(ご両親に撮影許可は得ています)。一緒に水槽を眺めたりと楽しそうにしているHさんでした。

16:00 順次入浴食事

特別室に着いてから、一人づつシャワーエイドを使って入浴です。

こちらの写真は、事前にサイズ確認のために撮ったものです。

シャワーエイドも、事前に施設側に使用の許可をいただきました。
ロッカーは施設側のご配慮で、浴室入り口に近いところで用意していただけました。
非常にありがたい!

浴室入り口で、バギーからシャワーエイドに乗り換えて、浴室へ。
洗い場ではスタッフ3名で対応しました。
近くにいたお客さんが「そのシャワー出ずらいからこっちがいいですよ」と温かい声をかけていただくことができました。

他の子が入る時は、ティッシュを探していたら、他のお客さんがティッシュを差し出してくれたりと、周りの方が想像以上に暖かく接していただけたのが印象的でした。

夕食もほのかで事前に親御さんに聞いていたものを頼んで食べました。
ミキサー持参で行ったので、胃瘻から美味しいパフェもいただけました。

19:30    ほのか温泉出発

20:00    こどもホスピスくまさんのおうち到着

くまさんのおうちをお借りしてのお泊まり会でした。ありがとうございます!

23日は節分でしたので、兼ねてからお泊まり会を楽しみにしていたソルキッズ管理者による鬼さんめがけて豆まきをしました。

代表理事による“豆まきとは”の説明のあと「鬼は~外、福は~内」とみんなで豆まきをしています。無病息災を願って楽しい豆まきができました。

夜中はHさんを囲んで休みましたが、なんとおおよそ3時まで起きていました。

前回のソルキッズお泊まり会は、実に15年ぶりに親元を離れて過ごしたお泊まり会でした。その頃から、「一緒に温泉行こうね」「お泊まり会しようね」と話し、今回の温泉とお泊まりを楽しみにしていたこともあり、なかなか寝付けないようでした。

8:00 起床・朝食 朝食は災害食を食べてみる

遅く寝たHさんも含めみんなしっかり起きて、朝の準備と一緒に、災害食の準備もしました。
水を入れるだけでできるアルファ化米や味噌汁、缶詰を使ったサラダを作って食べました。
水で入れるよりお湯の方がやっぱりおいしくって、お湯の大事さ、熱源の大事さを感じました。

10:00   帰宅

参加者の声

参加したスタッフや利用児・利用児家族からのフィードバックを紹介します。

お子さんがお泊まり会に参加して、「お子さんと離れること」についてどのように感じたのか、参加前と後の気持ちを教えてください。

  • ソルウェイズ主催のお泊まり会は、子供自身とても楽しみにしているので、親も安心して、行かせることができます。1ヶ所でも喜んで行ってくれる所があると本当にありがたいです。お泊まりは、ソルウェイズの他ではできない!と親子共に思っているので、今後、このような企画を増やしていってほしいです。
  • 帰ってきてからも、「あー楽しかった」と思い出して笑っております。
    子供がスタッフのみなさんを信頼して「また行きたい!」と言っていることがすべて物語っております。
  • 自分以外の人が、夜間のケアとかができるのか、いつもは休息タイムになっている時間にレクリエーションがあるので楽しめるのかが心配でしたが、案外、しっかり起きて楽しんでいるようで嬉しかったです。いつもは休息の時間と思っていたのは母だけで、お楽しみがあれば起きているんだなっていうことが分かりました。
  • 数回のお泊まり会を経験していて、あまり不安はなかったです!お楽しみ会のレクリエーションも笑顔で過ごしてました。実は、娘と一緒に温泉に入ったことが初めてだったような気もします。母の方が、嬉しかったかもしれません。

お子さんが成人した以降の「お子さんの生活」や「親御さん自身の生活」についてどのようにお考えか教えてください。

  • 入所する事は、無理!と思っているので、生活介護に通いながら今までの延長になる気がしております。
  • 成人が目の前に来ているけど、別々の生活は想像できない。また朝起きて、娘の世話をして、送り出して、また帰ってきてが娘が死ぬまで続くって気持ちのどこかで思っています。
  • 娘が少しでも、事業所に通っている間に私自身の時間として、仕事したり楽しみがあったりでそれで良いかなとも感じています。ただ、もしかしたら、娘自身はそのような生活を望んでいないかもしれないので、その年齢になったら話合ってみたいです。完全に一人暮らししなくても、たまに一人暮らしの時があったり、実家に帰るという日もあってもいいんじゃないかと私は思ってます。まだ全然、想像できないけれど、できれば、お姉ちゃんと一緒に生活させて欲しいです。

お子さんがお泊まり会に参加したことで、お子さんとの将来について考えが変わったことがありましたら教えてください。

  • 2〜3日泊まれることになったら、かなり親の自由度が上がる子供の成長にも、繋がると思っております。
  • 家族以外の人の中でも、ちゃんと1日過ごせるんだなと実感しました。今までは、私でなければ、私がやらなきゃと思っていた、それが、自分の生きるモチベーションだったけれど、そうじゃないって分かって、少し寂しかったような、嬉しかったような。自分の子離れできていなさ加減を思い知りました。
  • 私の永遠の末っ子。ずっと赤ちゃんでいたと思っていて、あまり手がかからないので、私の目が届かないことが多いです。もうこんなに大きくなっちゃったのかって寂しい限りで、将来を考えたくないというのも正直な気持ちです。

将来の「お子さんの生活」と「親御さん自身の生活」で不安や気掛かりなことがあれば教えてください。

  • 成長するにしたがい、いやでも生活介護のことや施設のことが耳に入ります。やはり、手厚いところは人気があるため新規利用ができないようなので、無理なのかな!と思っておりますが、ソルウェイズで生活介護、施設ができるようになればとてもありがたいです。
  • ソルウェイズのスタッフ目線は、子供の目線で考えてくれるのでありがたいです。
  • 自分がどこまで元気で一緒に生活できるのかなということです。いつかは、入所の日が来ます。それまでの間、つかず離れずで、娘は娘の時間を大切にして過ごせるような形で生活できたら良いなというのが理想。だけど、実際はそうではないのかなとか、寝たきりでどこにも出かけられない、楽しみがない生活だったらかわいそうだなとも思います。
  • お姉ちゃんとできれば一緒の施設なりに入所とかできないだろうかと思ってます。

学びや次回への課題

今回の目的は、“親亡き後へ向けた親離れ・子離れに注目して、2年後に高校卒後を控えている子を中心としたお泊りとしました。
親元を離れて過ごすことがほとんどなかった子の、「温泉に一緒に行きたい」を親の同行なしで叶えることができました。
日頃から関わっているスタッフを中心に、支援者の輪が広がることで、子供自身にできることが増えることがわかり、次の希望へと繋がっていくのではないかと考えます。
今後も、お泊まり会を繰り返し、少しづつ、楽しみながら子供が親元を離れるシミュレーションを行うことで、ひいては親離れに進んでいけるのではないかと思います。
ご家族から「安心して託せる」と言っていただけ、今後も絶え間ない支援を法人としても行っていく必要性を感じました。

温泉施設では施設のスタッフ、施設を利用されていたお客さんから沢山の温かい気遣い、心遣いを頂き心が温かくなりました。
地域でこの子達が暮らす姿がそこにありました。
法人の「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト(いけプロ)」でも、地域とのつながりを大事に事業展開し、インクルーシブ社会を創成していく必要性を強く感じました。
各事業所では日頃から地域と関わった活動を行っているので、今後も続けていくことが大事だと考えます。

朝食では災害食を経験したことで、災害に備えた水や電源の確保が必須であることも認識しました。
以前より、各事業所で災害に備えた備蓄のローリングストックしています。温かい食べ物、飲み物が当たり前にあるものがないと心理的、精神的なダメージがイメージできました。

2025年にスタートするショートステイは、大きなイベントの計画実施は難しいとは思われますが、季節毎の遊び、ゲーム、読み聞かせなどの、何か一つでもお楽しみ企画として行うことで、楽しい時間を提供でき、イヤイヤいくのではないお泊まりになるのではないかと考えます。

呼吸器や体位交換のクッションなどの荷物が多く、準備するご家族を思うと、ショートステイ時の荷物の軽量化が必要ではないかと感じました。
衣類やおむつ、移動用のスライダーの購入など、検討していく必要があると思いました。

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