未来を拓くプロジェクト

“お泊まり会” in 重症児デイサービスあいキッズ

未来を拓くプロジェクト

NPO法人ソルウェイズのデイサービスの事業所では、ショートステイに向けたシミュレーションが始まりました。

重症児デイサービスあいキッズにて、2022年8月6日に開催した「お泊まり会」の活動報告です。

※このお泊り会は「赤い羽根 新型コロナ感染症下の福祉活動応援全国キャンペーン 重症児等とその家族に対する支援活動応援助成」を受けて活動しています。

あいキッズお泊まり会

日時

202286日(土)1600
 ~87日(日)1000

場所

重症児デイサービスあいキッズ

目的

  • いつも通い慣れているあいキッズでいつもとは違う夜の時間過ごす時間を楽しみ、夏の思い出をつくる。
  • 同世代の友人やスタッフとともに調理、レクレーション、保護者不在のなかでの宿泊を通し、利用児の新たな経験の機会とする。
  • 自宅とは違う環境でケアを受け宿泊をする、今後のサービス利用のシミュレーションの機会とする。
  • 保護者の夜間帯の負担軽減や休息の機会とする。
  • 夜間帯の預かりを通して利用児、保護者の夜間介護の状況を把握し、今後ショートステイをつくるためどのような設備やケア、工夫が必要か知る機会とする。

事前準備

準備期間は1ヶ月。

役割分担

はじまりの会、クッキング(朝ごはん)、花火、プラネタリウム、ラジオ体操、終わりの会、に項目を分けて、スタッフの担当とリーダーを決め、グループLINEで検討を行いました。
当日まで、参加スタッフ全員でのミーティングは一度も実施できず、LINEを通してスケジュールや内容について共有を行いました。当日、スタッフ全員での打ち合わせ時間を15分間で設定したが、駆け足での説明となってしまい、もう少し時間をとって情報の共有を行うべきだであったという反省点もあります。

演奏の練習

1ヶ月前にテーマ曲を決定(ゆず:タッタ)。
当日はじまりの会で全員で演奏するために、楽器のできるスタッフはギター(3名)、ピアノ、リコーダー、その他のスタッフは歌とタンバリンでセッション練習を何度も行い、当日を迎えました。

製作物

  • お泊り会のしおり(表彰状つき)の作成
  • はじまりの会、おわりの会、タッタの歌詞などを模造紙に記載
  • おわりの会で渡す表彰状、記念品の作成。(記念品は保護者に利用児の似顔絵を描いてもらい、その絵を革に転写しキーホルダーを作成)
  • 事前に、保護者に参加する利用児さんへのメッセージカードと好きな歌を記入していただき、保護者のメッセージカードも当日掲示。

夜間のケアの聞き取り

夜間帯のケアについて、ケア表の記入を保護者に依頼、聞き取りを実施しました。
夜間、鼻マスク式人工呼吸器使用している利用児は、自宅での呼吸器配置の写真と、マスク装着の様子、就寝中の様子を動画に撮って送っていただき、事前に確認をしました。また、記入された内容で、時間内に行うことが難しいと思われるものは、保護者に相談して調整しました。

当日の流れ

16:00

スタッフ集合、打ち合わせ、送迎

17:00

はじまりの会

17:20

クッキング、夕食、片付け

19:30

花火!!

20:00

プラネタリウム、絵本読み聞かせ

21:00

就寝

6:30

起床

8:00

ラジオ体操、朝食、歯磨き

9:00

おわりの会

参加者の声

利用児のご家族

  • いつも通っている大好きなあいキッズで、お泊まりできて安心でした。本当にありがとうございました。楽しみにしていました。だけど、やっぱり夜はソワソワしてしまい落ち着かなかったです。慣れているところだから寝るかと思ったけど、楽しくて寝たくなかったんですね。荷物が多くて準備は大変。帰りたくなかったようで家に帰ってから癇癪で大変でした石狩にショートステイが出来てくれたら近いしうれしいいつも知っているスタッフがいてくれるのが安心
  • こんな機会をもらいありがとうございました。みんなで夜過ごすことを伝えると、はじめは不安な表情をしたが、内容を伝えたら納得したようでした。夜自宅以外で過ごすことはほとんどないのでいい機会だったと思う。キーホルダーとてもうれしかったです。またこのような機会があったら参加したい。
  • いつも通い慣れた場所とスタッフ、お友達と一緒だったので不安はなく楽しみでした。ぐっすり眠っていたようでよかったと思うし成長も感じました。

スタッフ

  • 保護者にかかる負担は、日中より夜間のほうが大きいと感じました。呼吸器管理の場合はその準備の多さと細かな調整が必要になること、(当日はいませんでしたが)夜間定期的な吸引が必要になる子もいること、眠くなってぐずる子への対応、その他たくさんありますが、それらをすべてお母さん、家族で担うことを考えると負担がかなり大きいと感じました。そういった面から考えても、だからこそショートステイの需要は大きいだろうなと思いますし、私自身おとまり会を経験できたからこそ、保護者の方々の負担軽減ができるなら今後も役立てることをなにかしていきたいと思いました!
  • いつも一緒に過ごしている子どもたちだったので、時間帯が変わってもお互い安心して過ごすことができたかなと思います。夜間帯の状態は知らないので心配はありましたが、看護師さんたちがお母さん方と夜の状態について事前にしっかりとした情報交換をしており、見守りも十分な人数を確保出来ていたので当日の不安は少なかったです。夜の時間帯だからこそできる花火などの特別な活動は、大人も良い思い出になりました。
  • 夜間にどのようなケアが必要で、そのケアを家族が毎日行っていることを知る貴重な経験ができたと思っています。改めて、家族の負担を減らすことができるサービスが身近にあることと、抵抗なく気軽に利用しやすい関係性をつくることが必要だと感じました。デイサービスは、遊びや活動の場として普段過ごしているので、泊まる際は「休息や寝る場所」と「活動や遊ぶ場所」という区別は大事ではないかと感じました。また、ワンフロアだったため、ケア提供者の安全な作業環境を確保すると同時に、利用者の休息を妨げない環境の両方が守られる工夫が必要だと感じました。子どもを預ける家族にとって、我が子のことだから家族がケアするのは当たり前で大変なのは仕方ないことと思ってしまうのかな。それを、家族が「来週の金曜ロードショーが見たいからショートを利用しよう!」みたいに気軽に利用できて、ショートを利用するときに子供に申し訳なさを感じるのではなく、「楽しんできてね♪」と送り出せるような気楽さがあるショートステイになったらいいなと思いました!
  • スタッフが準備から一体となりとても楽しんでいたことが印象に残っています。看護サイドでは、夜のケア情報を詳細に得たことで、見えなかった夜の子供たちの様子が少しわかりました。今後情報を得ていく方法として、保護者の大変さを垣間見させていただけました
  • 1日の利用児のスケジュールを知ることで、みんな頑張っている、尊敬する、という気持ちになれた。少しでもケアから離れてお父さん、お母さんの時間を、兄弟の甘えられない部分の緩和をできる時間をつくっていけたら良いなと感じた。家族まるごと受け止めるって大変だけど、その家族の大事な日常を穏やかに維持できるようなものに繋がれば良いと思った。

学びや次回への課題

利用児とスタッフが一緒に楽しめるお泊り会をやりたい!とスタートし、スタッフそれぞれが自分の役割を果たし、全員で協力して事故なく無事に終了することができ、とても良い経験をさせていただきました。

スタッフの振り返りを聞いていると、夜間一緒に過ごすことでご自宅での保護者の日々の頑張りや体の負担を実際に感じることができ、やはりショートステイが医療的ケア児やそのご家族を支えるものになること、その必要性を強く感じたことがわかりました。

 ご家族は、今回のお泊り会のように、普段デイサービスで関わっているスタッフが一緒に過ごすということが、大きな安心感となっており、ご家族に事情があり介護ができないときはもちろん、普段から気軽にお泊りができる場所があることは、利用児やご家族にとって大きな支えになるのではないかと思いました。デイサービスに送り出すように、当たり前に、楽しんでおいで!とご家族が笑顔で送り出せるショートステイが必要だと感じました。

 今回は初めての試みで、事業所からご自宅が近い石狩市内の利用児に限定し実施しました。地域を限定せずに希望のある利用児、ご家族にもお泊り会を参加していただきたいと思いますし、人工呼吸器装着の利用児が多かったり、夜間頻回に吸引が必要な場合、ケアの内容などによってもスタッフ配置を検討する必要があり、参加していただく利用児を変えてまた実施できれば良いと思いました。今回十分に準備できなかったことは緊急時の対応についてです。夜間のお預かりということで急変時やアクシデントの際にどのような対応が必要となるか、日中とは違う状況を予測したシミュレーションは検討しなければならないと思いました。

赤い羽根共同募金

「いけプロ」のシミュレーション事業は、赤い羽根共同募金さまからの助成金にて、実施しております。
ご寄付いただき、ありがとうございます。

タイトルとURLをコピーしました